夜は長し立ち止まれ髭男
よう、雑記神(オレ)だぜ。
はい。やってみたかっただけです。「忍者と極道」めっちゃ面白いのでオススメです。
冬の夜長とクソ夜勤
バ畜学生の私は週3のペースでワンオペ夜勤に臨んでいる訳ですが、この深夜のコンビニというのは不遜な客共が中年の姿を借りて煉獄の底から這い出てきたのではないかと見紛うほどの人外魔境です。
私を検索ツールか何かと勘違いしている単語だけ会話お姉さん(オブラート)とか店の商品を乱雑に放り投げて去っていく爽やかお兄さん(オブラートofオブラート)とか冷蔵商品の仕入れのコンテナを片付けしている最中にコンテナの合間で立ち読みをするナイスミドル(じゃがいもの皮)などがおります。
そしてこの夜勤の何が一番問題かっていうとですね長いんだよね!!!!
いや〜もう長い。夜が明けなすぎて永遠に感じる。おまけにこの客。私が働いてるところ何???〇ーソン閻魔庁横店??????
夜は短し歩けよ乙女
さて、書くネタなどとっくに尽きているのでここは身内に倣って書評などしてみましょうか。私は森見登美彦と伊坂幸太郎の狂信者でして、ほぼほぼそのいずれかになるでしょうが。今回のも偉大なる森見登美彦先生の作品であります。
「夜は短し歩けよ乙女」という本があります。「本なんか読んでる時間ねぇよバイト野郎が!〇すぞ!!!」というそこのあなた、アニメ映画もあるので是非ご覧ください。
京大の学生である「私」と「私」が恋心を抱く「黒髪の乙女」の2人の視点から京都の街で起こる不思議な事象や京都に蔓延る曲者達について描いたSFでありラブロマンスであり、ファンタジーという中々奇っ怪な作品です。
何が面白いかを端的に申し上げるならばこの2人の性格がびっくりするほど真逆であるところです。
偏屈で身勝手で虚弱な「私」と素直で他人思いで調和の取れた豪胆さを持つ「黒髪の乙女」、一人称視点の小説であるが故に2人の物事の捉え方の違いがくっきりと浮かびます。
例えば、天狗を自称する「樋口」という浴衣の男に対する評価は
私→妖怪の類、不詳の男
黒髪の乙女→不思議な人
とこれくらい違うのです。脳内であっても人間を妖怪呼ばわりする男、どうかと思う。
あと森見登美彦先生の素晴らしいところと言えば面白すぎる喩えです。彼の形容は教養とユーモアに裏打ちされて、読み易くもレトロな文章の中で燦然と光ります。
特に私が好きなのは、下鴨神社にてとても辛い火鍋を「私」が1口食べた場面での辛さの形容。
舌の上に広がるその味は、もはや味というよりも、荒削りの棍棒を用いたひと殴りというべきで、下鴨神社を中心とした半径二キロメートルに存在する「辛さ」という概念を、一切合切この鉄鍋に拾い集めて煮込んだのではないかと思われるほど辛かった。
ここまで的確かつコミカルな形容があるだろうか、いいやないね。(反語)
この2人は果たして京都の街で何と出会うのか、2人は結ばれるのか。是非ご一読ください。